⬛賃貸借の存続期間・敷金・原状回復義務について、明確に定まります!
【(1)賃貸借契約の存続期間:期間の延長】
【改正内容】
◆建物の所有を目的としない土地の賃貸借は、契約期間の上限が50年(現行は20年)に延長されます。施行日(2020年4月1日)以降に更新される場合には、改正604条が適用されます。
※建物の所有を目的としない土地賃貸借契約とは、例えば、ゴルフ場・駐車場・資材置場・太陽光パネル設置場所などが該当します。
なお、借地借家法の適用がある「建物の所有を目的とする土地の賃貸借」については、現行どおり(借地借家法3条,4条)です。
★該当条文【改正第604条】(要約版)
(賃貸借の存続期間)
賃貸借の存続期間は、50年を超えることはできない。賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は更新の時から50年を超えることはできない。
【(2)賃貸借契約に係る原状状回復義務の明文化(条文の改正)】
【改正内容】
◆通常の損耗や経年変化は、賃借人(借り手)原状回復義務の範囲外であることが法律で明文化されます。
★該当条文【改正第621条】(要約版)
(賃借人の原状回復義務)
賃賃借人は、借用後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
【(3)賃貸借契約に係る敷金に関する規定の明文化(条文の新設)】
【改正内容】
◆これまでは判例・行政ガイドラインが適用されていましたが、明文化されます。敷金の定義や敷金の原則返還が明示されてます。
★該当条文【改正第622条の2】(要約版)
(敷金)
賃貸人は、敷金を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。
【徒然やまとコラム】
★敷金条文の新設により、敷金の返還請求権は、賃貸借契約が終了し、賃貸物が返還された時に発生すること、貸借人(借り手)が交代しても、原則として、敷金は新貸借人(新たな借り手)に承継されないこと、賃借人(借り手)が賃料支払債務等を履行しない場合には、賃貸人(貸し手)は敷金をもって充当できることが規定されてます。
★賃借人(借り手)は、故意・過失により生じた傷・汚れなどについては、修繕義務を負います。これまで、国交省のガイドラインや都道府県のガイドラインはありましたが、今回の改正で敷金に関する条文が新設されたことにより、適切な対応が期待でき、後日の紛争も未然に防げることになります。
★なお、原状回復義務の範囲については、改正民法の条文と異なる内容を、契約締結時において、賃貸人と賃借人の合意によって、特約で定め、あらかじめ、原状回復義務の範囲を明確に定めることも可能となってます。
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