⬛請負契約にも売買契約の契約内容不適合の担保責任の規定が準用されます!
【改正内容】
◆請負人の履行が不適合の場合(注文者が契約不適合があることを知ってから1年以内に、請負人に通知する必要があります)、注文者は請負人に対し、(1)目的物の修補等、代替物の引渡し、又は不足分の引渡し請求(追完請求)、(2)代金減額請求、(3)損害賠償請求、(4)契約の解除、の請求ができます。
◆仕事が途中で終了しても請負人は報酬請求が認められます。
★現行法では、担保責任の請求には、引渡しから1年以内に損害賠償等の請求が可能でしたが、改正民法では、注文者は契約内容不適合の存在を知ってから1年以内に、請負人に対し、その契約内容不適合の種類や範囲などを通知することに変更されてます!
★また、現行法では、建築請負の場合、契約内容不適合による担保責任の期間について、引渡した時から非堅固建物は5年間、堅固建物は10年間とされてましたが、これらの期間制限は撤廃(現行法638条~640条削除)されてますので、注文者は、建物の種別にかかわらず、知ってから1年以内に通知しなければ、修補等の追完請求等ができなくなりますので、特に注意が必要です。
★「請負」とは労務供給契約のひとつで請負側は仕事を完成することを約束して、発注側はその仕事に対して報酬を支払う契約です。この仕事の内容は、家・ビルの建築などや、システム・ソフトウェア開発、講演やコンサートなどの仕事も含まれます。
★該当条文【改正636条】(原文)
(請負人の担保責任の制限)
請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。
★該当条文【改正637条】(原文)
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。
◆改正民法による請負人の担保責任の見直し:有償契約への準用(改正第559条)
請負人の担保責任については、改正前は、引渡しの前後で区別し、請負人は、引渡しの前には「一般の債務不履行責任」、引渡し後には「法定の瑕疵担保責任」を負うとされていました。改正民法では、引渡しの前後を問わず、請負人は契約責任を負うとし、契約不適合について、担保責任を負うこととされました。
改正前は、仕事の目的物に瑕疵があった場合の注文者の修補請求権・損害賠償請求権(改正前の民法第634条)、契約解除(同法第635条)で定められてましたが、この規定は改正民法では削除されたところです。
また、改正前の同法第640条(注文者による契約の解除)は、請負人の担保責任について、「担保責任を負わない旨の特約があっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない」と定められてましたが、売買に関する第572条(担保責任を負わない旨の特約)(削除)を、第559条(有償契約への準用)を介して請負に準用することによって、特約における公平性を確保することが可能として、第640条(注文者による契約の解除)も解除されています。
以上のとおり、請負人の担保責任については、民法改正で大きく見直しされてますので、ご留意ください。
【徒然やまとコラム】
★実務の場面では、契約内容不適合があり、一定期間に修繕等ができない場合には、代金減額請求が認められるため、契約書に修繕等に必要な合理的な期間を定めるなどの対応が必要となります。
★なお、一戸建ての住宅建築においては、屋根の雨漏りや契約(設計図面等)とは異なる各種工事に係る不整合などの事例が少なくありませんので、契約書の担保責任に係る条項には、特段の注意が必要となります。
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