【法人化(会社設立)のメリットは?】
★法人化のメリットは、次のとおりです。
(1) 信用力
資本を入れて事業を展開していることで、社会的な信用が得られる。
(2) 代表者の給与
法人では、代表者として自らに給与を支給することができるので、給与所得控除が受けれる。
(3) 家族に対する経費
個人事業では、生計を一にする配偶者等に対する給与・賃貸料・退職金等の経費(専従者給与除く)、原則として、必要経費に算入することができない。
しかし、法人では、生計を一にする配偶者等に対して支払った給与なども、「損金」(そんきん)として、必要経費に扱うことが原則として認められている。
(4) 減価償却費
個人事業では、減価償却費の計上は、強制的であり、業績が赤字の場合も計上となる。
しかし、法人では、業績を見て減価償却費が計上できる。(減価償却費を翌事業年度に先送りも可能)
(5) 欠損金の繰越
個人事業では、青色申告を行っている場合には、純損失の繰越控除は3年間。
しかし、法人で青色申告を行っている場合には、欠損金の繰越控除期間が10年、個人事業と比べて7年長く繰り越せる。
(6) 事業承継
財産を株式化することにより、後継者への財産の移転が容易にできる。
(7) 消費税の免税事業者
資本金が1,000万円未満の会社は、設立年度と2年目の事業年度は消費税の免税事業者となる。
【税制面】個人事業と法人では、どちらにメリットある?
◆個人事業にかかる所得税は、所得金額に応じて7段階の税率が設定されてます。
所得が多くなればなるほど、税額が大きくなってきます。(下記を参照)
◆一方、法人税は、税率が2段階式で、課税所得が800万円以上であれば、税率は23.4%です。
(所得が増えても、ずっと23.4%が適用されます。)(下記を参照)
◆そのため、所得が一定以上の金額になれば、個人事業から法人化した方が節税になると言われてます。
これを「法人成り」といいます。
◆逆に、所得が少ない場合は、法人より個人事業の方が課税される税金は少なくなります。
そのため、税制面だけ見れば、事業の開始時は、手間や費用がかからない個人事業で開業し、事業が順
調に拡大するようになれば、その時点で、法人化するのが理想です。
◆法人化のタイミングは、一般的には、個人事業の売上が1,000万円を越えたときです。
(事業の売上が1,000万円を超えた場合には、消費税の納付があります。)
新設法人の場合には、法人設立から2年間は消費税納付が免除されますので、このタイミングで法人化
されるケースが多いです。
【:会社組織と個人事業の税制上の比較】(2016.4.1~2018.3.31)
個人事業 | 法人 | |
課税される税金 |
所得税 個人住民税 個人事業税 |
法人税 法人住民税 法人事業税 |
所得税 |
所得金額による 累進課税 最高税率45% (給与控除0円) |
会社としては課税なし ただし、社長個人の所得には所得税がかかる 累進課税 最高税率45% (給与所得控除65万円あり) |
法人税 | なし |
資本金1,000万円以下の場合 所得800万円以下 課税15% 所得800万円以上 課税 23.4% |
住民税 |
・所得割(所得に応じて課税) 一律10% ・均等割(所得の額には無関係) 一律4,000円 |
・法人税率(標準課税の場合) 法人税額✕17.3% ・均等割(資本金1,000万円以下の場合) 70,000円 |
事業税 |
・事業所得の3~5% (※農業は非課税) |
(普通法人の場合) ・所得400万円以下 税率2.7% ・所得400万円~800万円 税率4.0% ・所得800万円以上 税率5.3% |
注:所得にかかる税金は、個人事業は「所得税」、法人(会社)は「法人税」となります。
住民税や事業税は、個人事業・法人ともに課税されますが、それぞれ税率が異なります。
♦ 会社組織(資本金1,000万円以下の法人)の場合
課税所得金額 | 課税対象 | 400万円以下 | 400万円超 800万円以下 | 800万円越 |
法人税 | 所得 | 15.00% | 15.00% | 23.4% |
地方法人税 |
法人税額✕4.4% |
0.66% | 0.66% | 0.66% |
法人住民税(※1) (1)道府県民税 |
法人税額✕3.2% |
0.48% (均等割 + 2万円) |
0.48% (均等割 + 2万円) |
0.48% (均等割 + 2万円) |
法人住民税(※1) (2)市町村民税 |
法人税額✕9.7% |
1.46% (均等割 + 5万円) |
1.46% (均等割 + 5万円) |
1.46% (均等割 + 5万円) |
事業税 | 所得 | 3.4% | 5.1% | 6.7% |
地方法人特別税 | 事業税額✕43.2% | 1.47% | 2.20% | 2.89% |
総合税率 (表面税率) |
22.46% | 24.90% | 37.04% | |
実効税率 | 21.40% | 23.20% | 33.80% |
注:総合税率(表面)とは、申告・納税する際の税率。
実効税率とは、実質的に負担する税率や節税効果を計る税率。
事業税を支払った翌期にこの事業税(地方法人特別税含む)を損金算入したのが「実効税率」です。
計算式:実効税率=(表面税率)/(1+(事業税率+地方法人特別税))
※1:法人住民税の均等割(道府県民税:2万円、市町村民税:5万円)は、資本金等1,000万円以下、従業員数50人以下の場合です。
(当該年度が赤字でも課税されます。)
◆個人の所得の場合(H27年分以降)
★課税所得金額とは、税率を掛ける対象の金額。
給与所得者の算出式:課税所得=給与収入ー給与所得控除-所得控除額
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
330万円以下 | 10% | 97,500円 |
695万円以下 | 20% | 427,500円 |
900万円以下 | 23% | 636,000円 |
1,800万以下 | 33% | 1,536,000円 |
4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
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