当事務所には、令和5年1月以降、定年後の働き方やシニアライフで、50歳代・60歳代の方からのご相談が少なくありません。
定年退職後について、再雇用(継続雇用)、再就職、起業などの多くの選択肢がありますが、正解の選択肢は、人それぞれ異なります。
自分には、どの選択可が適しているかについて、検討・準備などが十分にできないままに定年を迎えて、「再雇用」の選択をされている方が多いのでは、ないでしょうか。
私は、10年前に定年退職しましたが、リタイヤするのではなく、新たなチャレンジとして、迷うことなく、「起業」の道を選択しました。それは、「自分らしく生きる」ためです。
私が退職した2014年当時は、職場では定年後の再雇用の制度が始まっており、多くの同僚・先輩・後輩等は、「再雇用」の道を選び、同じ環境で、ほぼ同じ仕事に就いて、働く選択の方が大半でした。
私から見れば、大切な人生(時間)なのに、「再雇用」で、「大切な時間を流してもいいのだろうか」、「後悔はしないのだろうか」と、とつぶやぎながら、ひとり、ワクワクしながら、毎日をひたすら、前を向いて、走っていた当時を思い出します。
退職後の働き方としては、「再雇用」、「転職(再就職)」、「起業」と、3つの選択肢がありますが、メリット・デメリットの概要は、次のとおりです。
【再雇用】
メリットは、「同じ職場で不安が少なく安心感がある、経験が活かせる、収入が確保できる」などでしょうか。
デミリットは、「収入が激減、待遇が不遇、仕事に対して情熱がもてない、65歳で雇用強制終了」などでしょうか。
【転職】
メリットは、「専門知識・ノウハウが活かせる、定年延長により生涯収入が増える可能性がある、役職が以前の会社より上となる可能性がある」などでしょうか。
デミリットは、「企業規模が小さくなる、給与が減少する可能性がある、中途退社を余儀なくされる可能性がある、50歳第・60歳代の転職は難しい」などでしょうか。
【起業】
メリットは、「やりたい仕事ができる、収入をより多く得る可能性がある、経営者としての仕事が楽しい」などでしょうか。
デミリットは、「成功しない場合の不安、すべて自分でやらなければならない、営業など自身で実行する必要があり乗切るには相当の努力が必要」などでしょうか。
【お勧めは?】
定年退職を迎えた方の8割~9割が「再雇用」を選択されています。
選択理由は、ほとんどの方が「不安が少ない」という理由でしょうか。
しかし、「再雇用」の選択は、私の経験から、積極的には、お勧めはしておりません。
それは、再雇用での仕事は、現役時代とほぼ同じ仕事ですので、不安はまずありません。
しかし、慣れた業務をこなすだけで、責任をもって、生き生きとした働き方は、できないからです。
毎日、なんとなく、1日を過ごしているだけで、空虚感が大きく、かつ、モチベーションが低下する中で、やむを得ず、勤めている方が少なくない状況では、ないでしょうか。
現実には、再雇用は、激減した給料によって、家計が赤字となってしまい、退職金から毎月の補填をしつつ、将来の不安からシニアライフを見直しの相談や実例も多くあります。
それでは、「転職」の選択は、どうでしょうか。
50歳代・60歳の退職後の「シニア転職」は、一部の上場企業等の役職を除けば、現実は厳しい状況です。
そこで、お勧めするのは、「起業」です。
起業の選択は、「サラリーマンを定年まで勤めた方には無理」とのご意見もありますが、サラリーマンから起業家への切替えと勇気と覚悟ができる方であれば、「起業」は最適な選択肢となります。
起業は、スタート時、不安は当然ありますが、それを乗り切る覚悟があれば、船出はできます。
また、起業については、「どの領域で起業するか」が大きな成功の要素となります。
起業を成功に導く領域の選択ポイントは、「経験・持続性・市場性」の3要素となり、置き換えれば、「自分が得意なこと、市場性があること、ニーズが存在すること」が重なれば、起業に挑む前提条件が整います。
そして、「起業」が成功するかどうかは、「継続的に仕事を受注できるか」ですので、ご自身の3~5年間の努力と信用・信頼で、その成果・答えは出ます。
私の場合も、士業事務所を開業後、初めから順風満帆だったわけではありません。
ご多分に漏れず、スタートから3年間は、仕事の依頼はほぼなく、依頼があった場合に備えて、日々研鑽を積む毎日でした。
スタート時点で分かっていたことは、私が行政経験等により多くの知見・ノウハウ等を有し、人のお役に立てるスキル<いわゆる【市場価値】>を持っていたとしても、それは誰も知らないし、かつ、それを誰にも知らせる手段を持っていないということでした。
知らせるためには、「本」を出版して購読者を増やし名を馳せ、受注につなげるか、または、「WEB等(ホームページ・YouTube等)」で閲覧・登録者数を増やして受注につなげるか、どちらかの手段の実行となります。
「本」の自主出版は多額な費用を要し、売れるかのリスクも大きいことから、選択肢からは、当然、外れます。
残るは、「WEB等」ですが、これも、大半の方は、自分でホームページ等を制作する技術・ノウハウやWEB・広報に関する知見もなく、専門事業者に依頼する方法しかない状況が大半です。
しかし、依頼するには、その制作等に多額な費用を要し、ホームページ等の公開後にも、その運営コストに毎月数万円超の費用を請求される現実から、とても、売上(収益)がほとんどない状況では、外注の決断はできない場合がほとんどです。
そこで、私の場合、「知識ゼロ」からの崖っぷちの覚悟で、CMS(コンテンツマネジメントシステム)の一つである「WordPress」等について、困難ではありましたが、2年間の独学で制作技術・スキルを磨いたところです。
そして、開業から2年後に、自力で「行政書士やまと総合法務事務所」のホームページ制作・公開ができ、それ以降、日々、情報の更新やブログ更新を継続的に日々アップする中で、3ヵ月が経ったころから、ホームページからの集客が徐々に増えて、1年後には、士業の平均年収を超えるレベルまで、集客・売上が可能となったところです。
起業の資金面は、どうする?
起業にあたって資金は、200万円~500万円が必要といわれてますが、業種によっては、設備費用がかかる場合には、当面の運転資金を含めて、自己資金だけでは賄えない場合も少なくありません。
この場合には、日本政策金融公庫等からの低利な融資や創業に係る補助金の活用をお勧めしております。
当事務所では、融資支援はもちろん、創業補助金(上限300万円)(東京都)の採択実績など、多数有しており、起業にあたってのお力になっています。
当方は、起業後10年間において、融資はコロナ関連で受け、補助金は5件以上の補助金の採択によって、必要な設備や広報などの資金に充当し、業務の新規拡張と売上拡大につなげてきました。
起業にあたって、様々な支援制度を有効に活用し、できるだけ早くに、事業を軌道に乗せて、起業家として、ひとり立ちして頂きたいと願うばかりです。
【徒然のひとこと】
定年退職後に、知見や経験・ノウハウを後進に伝える志で、「顧問」として、働く方が徐々に増えています。
起業までの決断はできないが、再雇用ではなく、自身の経験等を活かして、社会のお役に立ちたいと、定年後に、企業・団体等において、顧問で、社会に携わる生き方です。
この「顧問」は、生き生きとした自身を実現できて、同時に、後進に自分の経験・スキルを確実に伝えられる喜びがあります。
行政書士やまと総合法務事務所では、シニアライフのアドバイザーとして、ご本人の意向に沿ったシニアワークの支援・サポートさせて頂いております。
50歳代・60歳代・70歳代の働き方につきまして、お気軽に、ご相談ください。