2021年7月12日から4回目の緊急事態宣言に入っている東京都では、7月31日時点で3日連続で3,000人以上(31日は4,058人)、全国では、31日の感染者は12,342人の新規感染者(30代以下が7割超)が確認されるなど、全国各地で感染が急増しています。
政府は、この感染状況により、首都圏3県と大阪府に8月2日から31日までの期間で緊急事態宣言を発令を決めたところです。
飲食店等の営業自粛が続く状況のなか、リモート(非接触型)ビジネスが、あらゆる分野において、進展・拡大しています。
進展する「リモート(非接触型)ビジネス」で、何が変わり、今後、私たちは、どう向き合って、いけばいいのでしょうか?
我が国における新型コロナウイルス対策は、令和2年4月7日に、7都府県を対象に5月6日まで緊急事態宣言を発令し、4月16日にはその対象を全国に拡大し、感染拡大防止の取組を行ったものの、その後、第2回、第3回、第4回の緊急事態宣言の発令となり、新規の感染者は、令和3年7月28日から4日連続で過去最高の新規感染者が確認されています。
こうした状況の中、多くの事業者等においては、外出自粛が続く中、早い段階から、在宅勤務型テレワークや非接触型の営業・集客への取組が短期間で進展しています。
コロナ前とは仕事のやり方が大きく変わりました。従来の「集客のための訪問型・接触型」から「リモート(非接触型)ビジネス」へのシフトは、コロナ禍での一過性ではなく、コロナ後も引き続き、さらに拡大すると見込まれています。
対面でのサービスにより価値があった部門も、売上・収益が確保できないため、非接触型営業に切り換えるなど、多くの事業者等がゼロからのビジネススキームの構築に迫られてます。コロナ前の仕事のやり方には、戻れないレベルになっています。
リモート(非接触型)ビジネスの移行がもたらす、メリットとデメリットは、なんでしょうか?
リモート(非接触)ビジネスは、基本がデジタル(通信)が中心となりますので、仕事の見かけ速度は早くなりますが、ほとんどの業種によっては、ビジネス全体の成約までは、リモートでは、逆に速度が落ちることになります。
それでは、リモート(非接触型)ビジネスのメリットとは、なんでしょう。
(1) 顧客は店舗(会場等含む)に出掛ける必要がなくなる
(2) 店舗(会場等含む)の広さ・立地の条件は不要
(3) 新たなシステム導入により、顧客対応・情報共有の一元化
リモート(非接触型)ビジネスのデメリットは、どうでしょう。
(1) リモート・オンラインは、視覚・聴覚しか使えず、伝えたいことに限界が生じる
(2) 社員間や顧客間において、情報が正確に伝えられないため、コミュニケーション・ロスが発生する
(3) リモート・オンラインに関するシステム・アプリ等が、利用するすべての顧客等に使いこなせない
では、リモート(非接触型)ビジネスは、どう進めればいいでしょうか。
業種にもよりますが、「リモート(接触型)ビジネスのツール」をご紹介します。
1 「オンライン接客ツール」
この「オンライン接客ツール」を使えば、今までの接触型と同じように、ディスプレイ(スマホ)を通じて、キャッチボール式会話で、必要な資料・データも添付・共有して、会話ができます。これは、一般的に活用されている「Zoom」等の予め準備・設定は必要なく、「数字.ドメイン」で、簡単に、いつでも、どこでも、ネット環境があれば、即時の会話が、なんどでも、できます。
この手法は、これまでの接触型・初期の非接触型と比べると、(1) 双方向が出向く必要がないため打合せ等が効率的に行える、(2)電話・メールではできなかった対面型と同じ効果が得られる、(3) データ・資料等の情報共有がシステム上で可能(記録含む)、などの利点があり、リモート(非接触型)ビジネスにおいては、必須のツールとして活用できます。
2 双方向通信である「Zoom」
都内で開催されるセミナーのほとんどが、この「Zoom」を活用したオンラインセミナーに移行してますが、セミナー内容等の出来栄えは、担当の講師のオンラインでの伝え方の技量・スキルと依存しており、参加者の満足度には物足りない内容も少なくない状況です。
3 動画発信「YouTube」
コロナ禍の状況において、各サイトには、「YouTube」にアップした動画配信が急激に増加しています。
内容は濃淡がありますが、収録時間をなるべく短くし、「何を伝えたいのか」、その動画を見て、次への問い合わせにつながる内容でないと、動画発信の意味がありません。今後、動画発信の分野は、さらに競争が激化が見込まれています。
次に、リモート(非接触型)ビジネス化について、類別のアプローチは、どうなっているでしょうか。
(1) 従来型ビジネスのリモート(非接触型)ビジネス化
① 営業の非接触型
② 各商品受け渡しの非接触型
③ 各サービス提供の非接触型
業種により異なりますが、例えば、不動産業における「リモート内覧・内見」の導入は、物件の広報・宣伝等の「営業面の非接触」であり、上記の②の商品の受け渡し、③のサービス提供の場面では、ありません。
②は、「鍵の受け渡し」のリモートビジネス化が必要となり、③は、アフターフォローを含めて、「オンライン接客ツール」のリモートビジネス化が必要なります。
このように、リモート(非接触型)ビジネス化には、複数のツールが必要であり、それらを機能的に統合した一体型のシステムの構築が重要となります。
それでは、リモート(非接触型)ビジネスの進展によって、消費者にかかるコスト負担増は、どうなるのでしょうか。
例えば、サービス業では、サービスを受け取るコストは、商品価格に今までも含まれてましたが、リモート(非接触型)ビジネスでは、新たに、宅配や通販する郵送代や容器代が発生し、そのコストが事業者の負担か、消費者の負担かの問題が生じます。
リモート(非接触型)ビジネス化の実現には、増加するコストが価格転嫁に繋がるため、事業者は、さらなる生産効率が求められ、実現できなければ、消費者が離れ、市場からの撤退せざる得ない厳しい状況も待ち受けています。
事例として、医療における「リモート診療」がコロナ禍により導入されましたが、これに係るコスト負担は、診療を受ける患者となりますので、その場所に行って適切なサービスを受ける必要がある場合においては、必ずしも「リモート(非接触型)ビジネス化」に馴染まない場面もあります。
次に、リモート(非接触型)ビジネスへのシフトについて、現実的な進み方は、どうなるでしょうか。
私の事務所には、コロナ禍によって、自社ビジネスの再構築を検討せざる得ない事業者から、事業再構築の相談が多く寄せられます。多くは、既存事業のコアな部分は変えないで、事業シフトの見直しで、非接触型ビジネスに転換を検討されるケースが大半です。
具体的な検討の進め方は、次のとおりです。
【第1段階】
(1) Zoomや動画配信などを利用した「対面機会をなくしたサービス提供」
(2) デリバリー等で商品の発送し、対面の接触がないサービス
(3) 電子マネー決済等により対面の接触機会を減少(サービス提供は現地)
【第2段階】
自社のサービス・商品の提供価値を「非接触型に置き換える」、例えば、施設等で提供しているサービスを自宅で体験できるサービスに置き換えるなど、これまでのサービス・商品を非接触型に適合するように変えて、同じ価値を消費者に提供することです。
【第3段階】
(1) 自社の優位性を洗い出し、競合他社の設定
リモート(非接触型)ビジネス化への転換は、他社と同じ非接触型ビジネス化では、競合してしまい、自社の優位性が出せずに、苦戦となります。まずは、競合他社と比較し、「自社の競合優位性がどこにあるか」について、VRIO分析(価値・希少性・模倣可能性・組織)等を用いて、自社の商品・サービスの差別化を意識し、競合他社の設定が重要となります。
(2) ターゲットの選定
非接触型ビジネスにおいては、活用するツールがアプリ等であるため、顧客のITレベルを踏まえて、初回は対面併用などを活用しつつ、ターゲットの選定が重要となります。
【第4段階】
(1) 集客スキームの構築と商品・サービスのコンテンツの充実・発展
リモート(非接触型)ビジネスでの集客は、会社の所在地等には関係なく、WEBサイトを通して、全国各地から自社の商品・サービスの照会が入ります。
このWEBサイトでの集客システムについて、売りたい商品・サービスのランディングページの内容充実はもちろんですが、これに加えて、Facebook・Twitter・ブログ・メルマガ等によって、経常的に情報発信し、更新頻度を上がることが必要です。
(2) 問い合わせ・クレーム対応の体制整備
販売の流れは、Amazom等の通販スタイルのように、ユーザーの顔も見ないでコミュニケーションも取らない販売サイクルとなります。
だからこそ、商品を紹介するコンテンツの明確さや、問い合わせ・クレーム等の対応が重要となります。
(3) ブランドと信用力の獲得
リモート(非接触型)ビジネスには、コンテンツの充実と継続的な発信によって、ブランド力をつける努力が必要となります。ブランド力をつけるには一定時間(長期間)要しますので、リモートビジネスの構築には、5年サイクルの経営戦略とする覚悟が重要です。
今後、リモート(非接触型)ビジネスが、政府が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)化によって、あらゆる業種等に定着し、販売・購入の仕方や、働き方、雇用も、大きく変わっていきます。
私たち消費者は、DX化による生活環境の変化とともに、これらを使いこなすITスキルや、これに係るコスト負担などを求められる局面が訪れることになります。
また、事業者は、今後も、ウィズコロナ・アフターコロナの状態が続く前提で、各業種別の「リモート(非接触型)ビジネス化」は、それぞれアプローチは異なりますが、コロナ前には決して戻らない覚悟で、事業の再構築に挑んでいけなければなりません。
【徒然のひとこと】
コロナ禍の収束は、終わりが見えない状況となっています。
リモート(非接触型)ビジネスの必要性が一過性でないことは、すでに多くの事業者が気づき、リモート(非接触型)ビジネスの導入に舵を切った事業者は少なくありません。
それには、ゼロからビジネススキームを組み立てる必要があります。と同時に、顧客獲得もゼロからのスタートとなり、経営者にとっては大きな覚悟と決意を求められます。
投資費用も必要となりますので、現在、応募の受付(第2回)中の「事業再構築補助金」の活用がおすすめです。当事務所は、補助金申請支援を行っておりますので、お気軽に、ご相談ください。