穀物価格 高騰!どうなる!私たちの食卓は?



 皆さんは、今、穀物などの資源価格が高騰し続けていることは、ご存知でしょうか?

 

 穀物や金属の資源価格は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、各国での経済活動がストップした昨年の2月から夏にかけて底をつき、急速に価格水準が上昇しています。

 

 特にアメリカで取引される大豆先物価格は、1年前の3月と比較して60%上昇、また、畜産の飼料の原料となるトウモロコシは61%の上昇となってます。

 

 大きな要因は、コロナによる景気後退から回復基調にある中国の需要拡大と、アメリカを中心とした世界各国の経済回復基調にあると言われています。今後も需要は高まり続け、これが価格を押し上げ、穀物などの資源高の状況が続いているところです。

 

 この穀物価格の上昇は、気候変動や輸入の米国産牛の価格上昇などにより、日本の外食産業や食卓にも影響が出始めています。

 

 農林水産省は4月から輸入小麦の政府売渡価格を平均5.5%(51,930円/トン)引き上げました。引き上げ幅は8年ぶりの大きさであり、今後、製粉各社が値上げに転じるは避けれない状況です。

 

 穀物別に、世界の生産量を見てみると、トロモロコシは、米国・中国・ブラジル・EU・ウクライナ・アルゼンチンの主要6か国が世界の80%を生産しています。大豆は、米国・ブラジル・アルゼンチン・中国の主要4か国が世界の87%を占めています。小麦は、中国・EU・インド・ロシア・米国・カナダ・豪州が世界の75%を生産しています。

 

 2020/2021年の各穀物の生産状況は、ラニーニャ現象による生育懸念や、中国での豪雨等によるトウモロコシの大幅な減収、南米での長雨による作付け遅れなどによって、生産の減収となっています。

 

 こうした状況の中で、中国の飼料用の大豆・トウロモコシの輸入急増や、輸出量が世界第3位のアルゼンチンのトウモロコシの輸出停止(その後撤回)などにより、価格上昇が加速したところです。

 

 この世界各国の生産事情と飼料用穀物の需要増大と価格の高騰は、2008年のリーマン・ショックの後、2012年(H24)当時の世界規模の食糧価格高騰による食糧危機の状況と似ているといわれてます。

 



 穀物価格の上昇は、日本国内の影響は、どうなるのでしょうか?

 

 JA全農は、3月に、トロモロコシ等から作る配合飼料を平均で5,500円/トンの値上げ(過去最高:72,300円/トン)を発表しています。

 

 畜産農家の配合飼料代は全コストの5割を以上占めていますので、価格の上昇は畜産農家の経営を圧迫し、コスト高を吸収できなければ、価格転嫁により食肉の価格は上昇が避けれない状況が見込まれます。

 

 また、輸入小麦の政府売渡価格の上昇は、小麦を原料とするパンや麺や菓子などの小売価格の上昇が懸念されています。

 

 小麦・大豆・トウモロコシ等の穀物価格の高騰は、主にサトウキビが原料となる「砂糖」や主に大豆などが原料となる「食用油」の生産の減退が価格高騰にも連動し、私たちの食卓への影響は避けれない状況が懸念されています。

 

 コロナ禍によって、営業規制の影響を受けている飲食店などに、厳しい食料価格の高騰が続く可能性があり、ますます経営を圧迫する状況の懸念が強まっています。

 

 今、国連食糧農業機関(FAO)が算出する「世界食料価格指数」は、2021年5月に前月比4.8%上昇し、前月比の伸びは、約10年ぶりの高さとなっています。

 

 この食品価格の上昇は、インフレが加速する可能性があり、生活のあらゆる分野への影響が懸念されています。


(参考)「輸入小麦の政府売渡価格について」(令和3年3月 農林水産省)


【徒然のひとこと】 

世界的な穀物価格の高騰が、私たちの食生活への影響が懸念されています。

 

私は、40年以上、食料生産に農業者として関わっていますので、いつか、突然に、食糧危機が訪れる可能性があると危惧しています。

 

いずれ訪れる食料の危機に備えて、細々ではありますが、水稲・大豆・小麦・とうもろこし・じゃがいも・さつまいも・かぼちゃ・さといも・れんこん、など、多品種の作物を栽培しています。

 

生きるために、作物を自ら栽培することは、何よりにも優先されることでは、ないでしょうか?

東京で暮らすと多くの方が仕事に追われ、食料の自給について、遠いことになっているようです。

 

私は、全国の新規就農者の方に、これまで私が培った農業関連知見をお伝えするために、農業支援を全国で展開しております。今月からは、オンライン相談ツールを活用して、幅広く、ご相談に乗っております。

 

農業法人の設立・運営・経営、農業関連の補助金申請などをご検討の方は、独力での突破は大変困難ですので、信頼できるコンサル等の力を借りるのも一方法です。

 

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