コロナ感染リスクの状況が続く中、新たに住宅の購入について、2020年4月以前と現在では、大きな変化が生じてます。
それは、「マンションにするか、一戸建てにするか」について、ご相談される方が増えています。
コロナ感染状況が続くとして、マンションと一戸建ての購入について、それぞれのメリット・デメリットについて、見てみましょう。
1 住み続ける場合の各費用等の比較
マンションや一戸建ての物件を購入するとき、物件の売買価格に加えて、手数料(仲介手数料)や保証料・登記諸費用・火災保険・地震保険・団体信用生命保険・不動産取得税・固定資産税・都市計画税などの必要となる費用は、宅建業者等が重要事項説明や契約締結の際に買主に説明が義務付けされている事項もありますが、住み続けた場合の「生涯コスト」(修繕費用・税金・保険費用等)については、十分な説明はされていないのが現状です。
新築マンション入居の数年後・十数年後に、「こんなに費用がかかるとは?」と、落胆される方も少なくありません。
毎月の住宅ローンの返済に加えて、毎月発生する費用(コスト)等は、マンション・一戸建てを比較すると、下記のとおりです。
(1)各費用の比較
区分 | マンション | 一戸建て | メリット・デミリット |
管理費 | 約2~3万円/月 | なし | マン:▲敷地清掃・共用部分管理(10年で240~360万円必要) |
修繕積立金 | 約1~3万円/月 | (任意:自己での積立) |
マン:入居当時は低めに設定されているため、値上げの可能性あり 戸建:△ライフプランに合わせた家の補修可能 |
駐車場代 | 約1~3万円/月 | なし | マン:▲車を所有すると10年で120~360万円必要 |
固定資産税 | 15万~数十万円/年 | 15万~数十万円/年 | 共通:地域・物件によるが、取得額が同額であれば、ほぼ同じ額 |
火災保険 | 約1万円/年 | 約4~5万円 | 戸建:▲木造・地震保険分が上乗せ |
(2)防犯からの比較
防犯 | マンション | 一戸建 | メリット・デミリット |
オートロック | 通常あり | 通常なし | マン:防犯性は高い |
防犯カメラ | 通常あり | 通常なし | 戸建:設置は可能 |
管理人 | 日中見回り | なし | マン:防犯性は高い |
窓から侵入 | 上層階はリスク低 | リスク高 | 戸建:オプションの警備契約が必要(設備機器の設置含む) |
(3)資産価値からの比較
資産価値 | マンション | 一戸建 | メリット・デミリット |
土地の価値 | 敷地権のため少ない | 路線価として存続 | (資産評価としての価値) |
建物の価値 | 約50年でなくなる | 約30年でなくなる | 20年後の建物評価:マンションは新築時の60%、一戸建は15%まで下落 |
(4)防音からの比較
防音 | マンション | 一戸建 | メリット・デミリット |
騒音 |
RC造は低音が響きやすく 上下階足音クレームあり |
下階に騒音少ない | マン:室内・バルコニーから発せられる音が窓を伝わって騒音になりやすい |
対応 | 対応が総じて心痛あり | 対応による心痛なし |
(5)広さからの比較(都市居住型)
広さ | 誘導居住面積(国) | マンション | 一戸建 | メリット・デミリット |
3人暮らし | 75㎡ | 販売中の物件は80㎡未満多し | 100㎡超が多い |
マン:4人暮らしの居住面積確保は困難
戸建:100㎡以上(3階建含む)の物件が多い |
4人暮らし | 95㎡ | 販売中の物件で90㎡超は少い |
(6)立地面等からの比較(都市居住型)
立地面 | マンション | 一戸建 | |
駅から距離 | 駅から徒歩圏内の物件が多く利便性高い | 駅から徒歩圏でなく、バス便(自転車等)の物件が多い | |
日当たり 通風 |
物件次第であるが、一戸建てには劣る | 用途規制(日影規制や高さ制限)により物件にもよるが、日当たり・通風は良好 | |
プライバシー | 個室の距離が短く、家族の気配が気になる | 物件にもよるが、各部屋の距離が保たれており家族のプライバシーが確保可能 | |
共用施設 | 大型マンションではキッズルーム・ゲストルーム等の施設が充実 | 室内に左記の施設は確保困難なため、周辺の公共施設等の利用 | |
ペット | 飼育可能はマンションでもサイズ・種類等に制限あり | 大型犬を含め種類・頭数を気にせず飼育可能 |
(7)まとめ
以上の比較から、マンションと一戸建てのそれぞれのメリット・デメリットは、次のとおりです。
◆購入価格は、場所により単純比較はできないが、居住面積で比較すると、マンションの方が割高
◆ 一戸建ての方が住み続ける場合、家のランニングコストは割安
◆マンションのは方はセキュリティは高い、一戸建ては別途の警備契約及び設備の設置が必要
◆築20年時点で比較すると、マンションの方が資産価値は高い
(都内マンションは、立地や物件次第では、築20年中古マンションは、分譲時より高値での取引例も見られる)
◆築50年時点で比較すると、一戸建ては土地の価値が資産価値として維持可能なため、一戸建ての方が資産価値が高い
◆防音性は、マンションの方が低く、一戸建ての方が高い
◆駅近での物件を希望位する場合は、マンションが有利(駅近の一戸建て用地の売買価格が高く、資金確保・支払は困難)
◆4人暮らしの居住面積(95㎡超)を確保するのは、一戸建てが有利(マンションでは希少物件となり売買価格は高く、確保は困難)
◆一戸建ては、家屋・庭の手入れ・清掃や害虫駆除が必要であるが、マンションは管理会社が委託
◆一戸建ては、室内・外構などのリフォーム・増改築が自由にできるが、マンションは、室内リフォームも事前承認を得る必要あり
◆一戸建ては、住居の広さ、駐車場、騒音、プライバシーの確保、ペット飼育の制限なし、など、有利な面が多い
◆マンションは、駅近物件が多く、通勤・通学の利便性が高く、セキュリティ面での安心感、ゴミ出しが24時間いつでも出せる、などの生活面の負担が軽減できる設備が整っているマンションが多い。
◆購入額と立地面からは、駅から徒歩数分以内でみるとマンションとなるが、都内近郊の駅から徒歩10~20分の一戸建てが購入予算に合致すれば、一戸建ての購入が有利
マンションを選択するか、一戸建てを選択するかは、立地面及び購入価格だけではなく、家族状況を前提として、現在の働き方の状況と退職後のライフスタイル(主な収入が年金収入のみ)を合わせての検討が必要となります。
2 60代以降のライフスタイルを見据えての「住まいの選び方」について
現役の収入レベルが退職後も「一生涯の収入レベル維持」できるのであれば、都心の駅近のマンションがベストチョイス(購入資金があれば)です。
現実には、一般の給与所得者では手が届かない高額な販売額のため、勤務先から60分以内の立地条件で、年収の5倍程度(預貯金額・贈与額等は別)の物件を探すことになります。
ここで検討が必要なのは、駅近の徒歩圏内のマンションを選択する場合、現役時代は相応の収入が確保できるため、マンションに住む居住経費が一戸建てより多く必要となっても、特段の事情が生じない限り、負担感は少なく、払い続けることは可能であります。
しかし、現役時代とともに、退職後の60代以降も、「一生涯、安心して、住み続けられる物件」を探すことが求められます。
特に、再雇用等が終わって、年金収入のみになった時以降、預貯金等に余裕がない場合、マンションの管理費や修繕積立金等を払い続けることができるでしょうか?
老後を安心して過ごすために、郊外の一戸建てを売って、利便性の良い都心のマンションへの回帰が増え、現在も、この選択肢を選ぶ方も少なくありません。
買換して入居したマンションは、セキュリティやバリアフリーが整備され、日常の清掃等は管理会社が行うため、快適な生活が過ごせます。しかし、2~3年後には、管理費や修繕積立金等の毎月のランニングコストが大きく負担になるケースも多く報告されてます。
このことからも、マンションの購入、また、一戸建ての購入にしても、現役時代と退職後の共通項は、(1)都市部の物件、(2)セキュリティ・バリアフリーの住宅、(3)ランニングコストが少ない物件、これらの条件に合った物件を探すことが求められます。
【徒然のひとこと】
マンション・一戸建てのどちらを選択しても、家の維持費・修繕費は将来的に払い続けていくことになります。
特に、マンションの大規模修繕は、12年周期で実施されますので、居住が20年前後の時期には、「以降の金銭的な負担を避けるために、時期を見て売却する」 ことも選択肢の一つです。
築20年前後のマンションは、分譲で購入した価格より1~3割高く売却できたとの報告も少なくありません。買った宅建業者等は必要最小限のリフォームをして、買取再販の特例措置(登録免許税)を活用して、間髪入れずに、売却している事例が多くあります。
物件探しや買換のご相談など、グループ企業の「やまとシグナル(株)不動産事業部」と当事務所が全力でご支援させて頂いておりますので、お気軽にご相談ください。