本日、気象庁の発表によると、梅雨の天候不順の影響で、7月の日照時間が東日本で平年の37%、西日本で49%に。これは、30日までの暫定値ですが、1946年の統計開始以降、7月として最も短い記録的な日照時間です。
皆さんは、この長雨による日照不足が、私たちの暮らしに与える影響をご存知でしょうか?
日照時間が少ないことが、農作物・果樹などの生育に大きく影響します。
東京では、7月31日現在でも、梅雨明けの便りが届きませんが、この長雨・曇天による日照不足の影響をもっとも多く受けているのが、「野菜」です。生育不足から多くの野菜の収穫量が減るなどし、価格が高騰し、家計を直撃しています。
日照不足や長雨によって野菜の出荷量が少ない状況が続き、レタスやなすなどの野菜の高値が続いています。東京都中央卸売市場の27日の価格は、平年の同じ時期と比べて、レタスが71%、ピーマンが47%、キャベツが45%それぞれ高くなっています。
これは、日照不足で生育が悪かったり、長雨で収穫作業ができなかったりしたため、出荷量が減っていることが主な要因です。
また、4月の低温などの影響を受けた、「にんじん」と「じゃがいも」は、27日の卸売価格がいずれも平年の2倍以上となっていて、高値が続いています。
当社の経営する「やまと農園」の「じゃがいも」の収穫は、3月28日に定植しましたが、6月の収穫時期も雨ばかりで、適期の収穫時期で収穫できず、不作の状況となってしまいました。
近くのスーパーでは、ジャガイモ1袋が398円で去年に比べ2.6倍に、ブロッコリー1玉は2.5倍の248円でした。ほかにも、キャベツは2倍、キュウリは1.8倍など、ほとんどの野菜の価格が高くなっています。
長雨・日照不足が続くと、水稲・野菜・果樹など、夏作物の生育には欠かせない「光合成」が十分にできず、根の張りも良くなく、生育が停滞し、野菜では、土壌の湿気を高まり、病害虫の発生が多くなり、土の水分が多すぎて、根腐れをおこしてしまうこともあります。
今後も、長雨・日照不足に加え、北日本の太平洋側での低温傾向が続けば、水稲の作柄低下、ほうれんそう・きゅうり・レタスなどの野菜の不作・供給量減少により、価格の高騰が予想されます。
そうなると、野菜に加え、お米・果樹などの毎日の食卓に欠かせない食材も値上がり、わたしたちの家計に直撃となります。
特に、水稲は、出穂直後の生育も非常に深刻となり、9月上中旬収穫の早生品種の作柄が心配されます。
予想される水稲の被害は、①登熟不良による収量・品質の低下、②成熟期の早期水稲は穂発芽の発生などです。
願わくは、来週から平年並みの天候に戻って欲しいと、毎日、祈りながら、空を眺めてますが、今日も東京では雨が降りそうな曇り空です・・・、自然には、勝てないです!
長雨の被害を最小限に抑える方法として、野菜では、排水用の溝を掘っての排水や、高畝にして水はけを良くして、根腐れや病害虫に侵される状況を未然に防ぐことが必要となります。
しかしながら、雨で「ぬかるんでいるほ場」には、農業機械も入れず、労力事情も限界があって、現実には、病害虫の防除を除いては、被害を食い止めることは、難しい状況です!
収量が多くなる条件の一つに、夏の「日照時間と日較差(昼の気温は高く、夜は涼しい)」(昼と夜の温度差が大きい)と言われてます。
私の両親は、いつも「夏は暑ければ暑いほど、作物の収量は増える」と言って、暑い夏の年は、喜んでいました。
8月には、天候不順を脱して日照時間・日較差が確保できる「いつもの、普通の夏」の気象を期待したいものです。
【徒然のひとこと】
「自然相手の農業」➡「農業から食が生まれる」ことを私たちは忘れてはならないと思います。
「食」があるから、「生きれる」喜びをもって、自然・気象・農業・食を考えてみませんか。
地球温暖化による影響が気象変動をもたらしています。
農業気象が農作物・果樹の生育に大きく影響しますので、細心の注意を払って栽培に当たってます。
気象と農業と食のことなら、お気軽に、当事務所にお問い合せください。