今年も60歳で定年を迎えた方は、多くが昭和32年生まれの方です。公的年金を受け取れるのは、63歳からです。60歳の定年で仕事を辞めると、給与も年金も得られない収入空白期間が生じます。「退職金があるから、蓄えがあるから」、「退職後、悠々自適な暮らしをしよう」と考えてる方は、70歳で老後破綻を招く危険性があります。
たとえ、63歳から年金(報酬比例部分)を受給できても、さらには、65歳から満額(老齢厚生年金と老齢基礎年金)の年金を受給しても、年金だけでは、生活は難しい状況が見込まれます。データから見ると、総務省の家計調査の「高齢世帯無職夫婦」(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)では、毎月の消費支出合計237,691円と「約24万円」が、毎月の生活費としての必要額となってます。
定年退職時に、退職金が全国平均の1,800万円あった方(住宅ローンは完済、子どもは独立)で試算してみると、70歳になった時、年金以外の収入がない場合には、退職時の貯蓄(退職金)は、どうなっているでしょうか。
収入は、63歳からの年金「120万円(平均)×2年=240万円」と65歳から69歳までの年金「200万円(平均)×5年=1,000万円」で「合計1,240万円」、一方、支出は、毎月の生活費 24万円×12ヶ月×10年=2,880万円が見込まれます。
この結果、(退職時の貯蓄(退職金)額1,800万円+収入(年金)1,240万円)】-支出2,880万円=160万円(70歳到達時点の貯蓄額)となり、70歳時点では、貯蓄額が、わずか160万円しか残ってないことになります。
これでは、70歳からの生活は、どうなるでしょうか。
【60歳で悠々自適は、70歳で破綻を招きます!】
70歳を過ぎると、年金が月17万円弱、生活費が24万円弱とすると、毎月7万円の赤字となります。手元の160万円は、2年でゼロとなり、72歳からは、年金のみでは、毎月7万円が不足することになります。
これから退職される方は、10年後のこの現実に気がついて、今から対応策を講じなければ、老後の生活は、破綻してしまいます。しかも、この生活費には、臨時出費(ご本人・配偶者の病気による出費、子の結婚援助の費用、冠婚葬祭の費用、家のリフォーム等の費用)は一切見ておりません。必要な臨時出費が出てくると、現実的には、このままの状況で推移すれば、70歳までには、貯蓄額は、ゼロとなる世帯が少なくない状況が見込まれます。
それでは、どうしたら、いいでしょうか?
60歳からの働き方に、(1)継続雇用、(2)新しい環境で再就職、(3)地方移住で働く、(4)自然体で起業する、(5)のんびり働く、の5つの「働き方の選択肢」があります。現在では、60歳で定年退職して、悠々自適に年金生活をする方は、ほとんどいません。定年退職後の8割以上の方が継続雇用(多くの方は65歳まで)で働く時代となってます。
65歳までは継続雇用等で働き、一定の収入を得ることは当然必要ですが、大切なことは、65歳以降も働き方を変えて働き、安定的な収入(月15万円程度でも)を得ることが重要です。65歳でリタイアするのではなく、65歳以降も、上記の(3)・(4)・(5)のいずれかのカタチで、たとえ、少額の収入でもいいので、収入を絶えさないことが、老後破綻にならない最良の方法では、ないでしょうか。
「老後設計はどうしたらいいでしょうか?」と聞かれると、私は即座に「50代から準備を始めましょう」とお話しています。特に、65歳からの「自然体で起業」構想がある方には、起業のシミュレートを行いつつ、スキルと資金の準備をすることが、生涯現役と収入の確保につながります。これを実現するには、60歳の「再就職」と65歳からの「自然体での起業」のカタチがオススメです。
徒然のひとこと
60歳の定年後の生活において、「家計のスリムダウン」も必須です。見直し項目は、(1)保険料、(2)光熱水料、(3)通信費、(4)自動車等経費の4項目です。必要最小限に支出を抑える工夫が、人生100年時代を「ゆとりと豊かさ」で過ごさせてくれるアイテムとなります。
当事務所では、60歳からの「ゆとりあるライフワーク」に基づいた「ライフプランの作成」について、お一人おひとりの実情に沿って、伴走型のご支援させて頂いております。
人生100年時代を見据えて、準備は、早いうちに行って、60歳からの長いセカンドライフを充実させませんか。
「やまと総合法務事務所」と「らぽーる相続支援センター」では、ライフワークによる「ライフプラン」の作成を ご支援しておりますので、お気軽に、ご相談ください。