所得税増税の必要性!どうなのでしょうか?
昨日(H29.11.28)、2018年税制改正において、所得税の見直し検討が報道されてます。
これは、「給与所得控除」の見直しについて、給与所得者(会社員)が増税となるラインを年収800万円~900万円台とする方向で調整に入った記事です。
フリーランスなど全員が対象となる「基礎控除」の額を増やす一方、給与所得者(会社員)が対象となる「給与所得控除」を引き下げる検討の内容のようです。
この「給与所得控除」については、年収に応じて控除額が増えますが、現在は、年収1,000万円超で控除額が220万円の上限額となっています。
報道によれば、見直し案では、控除の上限額220万円を引き下げた上で、さらに上限額に達する年収を1,000万円から800~900万円台に引き下げとする内容です。
800万円~900万円台の収入(所得ではありません)は、一般的な企業では、40~50歳代の中高年層となりますが、この層は、子の大学での学費や住宅ローンなど出費負担が一番大きくなる年齢層であり、増税となるような「豊かさ」を感じていない層であるのに、なぜ、この層の所得税が増税になるのでしょうか?
上図は、2016年の給与所得者の年収別分布ですが、800万円~900万円の割合は全体の2.8%、900万円~1,000万円は全体の1.9%で、合計で4.7%の層をターゲットに所得税を増税する案が検討されてます。
給与所得の源泉徴収制度において、最近、毎年のように、控除額を動かしてます。
この控除額をいくらにするかによって、給与所得者の増税も減税も可能でありますが、税の公平性と増税の必要性の観点から、いつも、考えせられるところです。
改正のねらいは、一定の所得以上の給与所得者(会社員)は増税する一方、フリーランスなど請負契約で働く者らは減税となるように設計したと言われてます。
2018年の税制改正の全体像が見えないので、詳細はわかりませんが、はたして、そうなのでしょうか?
消費税が2019年10月に引き上げられ、その財源を「子育て支援」や「社会保険の充実」に充てるとしてます。
また、消費税の軽減税率の不足分について、上記の所得税の増税分を充てるなどの考え方があるやに聞こえてきますが、その財源を何にするか、また、軽減税率の相当分が直結で財源不足となるのか、増え続ける予算規模に問題はないのか、私たち納税者には、わからないことが少なくありません。
法人税は、グローバル競争の中で増税はしづらく、所得税の増税で「大きくなる財政需要」を乗り切ろうとする考え方のようですが、単なる、目先の策に見えるのは、私だけでしょうか。
私たちの生活に大きく影響する「税」について、関心をもって、考えてみませんか。
来月12月14日の自民党税制調査会において、「2018年度与党税制改正大綱」の取りまとめが予定されてます。
私たち国民の生活を第一とした「税のあり方」が取りまとめられることを期待しております。
徒然のひとこと
税制は、仕組みも内容も種類も、わかりにくいことが、あまりにも多すぎです。
私たちの暮らしに直轄する税ですが、納税者に、わかりやすく、説明する機会が少ない状況です。
当事務所は、一般的な全体の概要については、「なんでも相談室」を設け、図や絵にして、わかりやすく、ご案内しております。お気軽に、ご相談ください。