東京で「農業」できますか?
東京での「農地」が「今、どうなっている?」について、ご紹介します。
実は、あまり知られてませんが、昨年、「都市農業振興基本法」が衆参両院での全会一致で成立してます。この法律に基づき、H28.4月に「都市農業振興基本計画」が閣議決定され、H29年度予算や税制改正では、都市農業振興に必要な措置が予定されています。
今後、東京都における「都市農業」について、都市農業特区による制度改善も進むのではと期待されてます。
農業を始めるのは、まず「農地」が必要ですが、東京では、農地を借りることができるでしょうか?
農地の分類は、「都市計画法」と「農業振興法」の二つの法律で定められてます。都市計画法では「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分されてます。
(※「農業振興法における区分は、「農用地域」と「農業振興地域」に区分されており、都市計画法の「市街化調整区域」と重なる地域もあります。)
東京都には、市街化区域内に3,690ha(東京ドーム約800個分)の農地が存在(H27.4)し、このうち約80%(2,840ha)の農地が「生産緑地地区」(要件等は生産緑地法)となってます。
また、約20%(850ha)が生産緑地指定されていない市街化区域内農地(宅地化農地)があります。(データはH26.1.1現在)
(※上記以外の農地は、市街化調整区域に1,820ha(島しょう部除く))
※ 「生産緑地地区」指定されれば、固定資産税の「一般農地並課税」や相続税の「納税猶予の特例」などが適用措置があります。)
農地面積が全国一少ない東京都で、市街化区域内の農地(3,690ha)が約66%と極めて高く、東京の特殊性が読み取れます。
市街化区域は、農地の貸借(農地の利用権設定)制度の法律(農業経営基盤強化促進法)により「対象外」地域となっているため、農地の貸借は「農地法」による手続となりますが、「生産緑地」を賃貸した場合には、相続の時(相続税等納税猶予制度の適用外)に所有者に不都合が生じるため、市街化区域内の農地を借りることは困難となっております。(※市街化調整区域の農地は、前述のケースでも、猶予制度は適用されます)
このため、東京(市街化区域)においては、非農家の方が「新規就農」で農業を志しても、現実には、農地が確保できない状況です。
よって、現行制度上、東京都内(島しょう部除く)で農地を借りれるのは、市街化調整区域の農地(青梅市・あきる野市・八王子市など多摩地区7市)となります
これらの市街化調整区域では、関係機関の支援・協力・応援などにより、5年前に新規就農の方が誕生し、徐々に増加してます。
また、H24年度からは、農水省の事業として、「青年就農給付金」がスタートし、準備型(研修期間)として2年間、経営開始型として5年間にわたり、国が給付金を支給する仕組みが創設され、新規就農に踏み出しやすくなったところです。
農業に関するご相談では、「農ある暮らし」をしたいと希望される方が多く、「自然とのふれあい」や「土づくり・野菜・花づくり」などを通じて、「自分で食べる食材は、安全で新鮮なものを自分自身で育ててみたい」との考え方がベースとなっております。
都会で暮らしながら、「農ある暮らし」の実現が夢と!を持っておられる方は少なくありません。
これからの東京都内における「都市農業」の展開について、前述の基本計画に沿っての「これからの動き」に注目したいですね。
【徒然のひとこと】
東京都内の一部区や市が提供する「市民農園」は人気・需要とも高く、抽選の状況です。
「野菜作りのあるライフスタイル」は都会に暮らす方が「自然に帰る」一コマのように感じます。
野菜・花などの栽培は、とても楽しく、充実の時間が過ごせますので、家庭菜園から取り組んでみたら、いかがでしょうか。