建築の積算・見積って、どうするの?

 マンションの販売価格や住宅のリフォームの見積額など、建築の費用について、関心や疑問をもったことは、ありませんか?

 施工業者等からの見積書の金額について、適正な金額なのか、その判断に困ったことは、ありませんか。


 販売価格や見積額を作るための「積算」については、建築基準法等の建築法規の知識は当然ですが、各工事の各工程ごとに必要な額を積算した上で原価を算出し、その原価に対して、利益を乗せて、お客様に提示するのが見積書です。

 

 当方は、長年、ゼネコン・官公庁において、建設工事の積算に携わってきた経歴等から、建築に関わる積算の仕組みについて、一部、ご紹介させていただきます。


 「積算」とは、「その工事の施工に必要なコストを事前に算出する」ことです。今、2020年東京オリンピックの競技会場の整備費が問題となってますが、この整備費の算出も、設計図等から積算基準等に則って算出されてます。


 算出方法は、建築工事であれば、次のとおりです。

 官公庁等における予定価格の積算については、設計図に基づき、各工事の工法ごとに、材料・工法などを「公共建築工事標準仕様書」等に基づき確認しつつ、「公共建築工事標準単価積算基準」等を用い、詳細に、算出します。


 積算手順は、設計会社等の設計図面から、各工事の施工過程に基づき、「数量の拾い出し」から始めます。
 これは、設計図から平面図・立面図・矩計図(かなばかり図)(※建物の一部を切断して、納まりや寸法等を細かく記入した断面図の詳細版のことです)等から各施工過程の作業手順ごとに、その施工数量について、詳細に拾い出しを行います。

 

 この作業には、施工過程の「空間把握」や「設備工事・電気工事等」の現場レベルにおける関連知識も必要となりますので、施工現場で各工事がどのような手順で施工されるかの現場知識は必須となります。(日頃から、基本の各工事の設計図(特に断面図)を頭に入れて、建築中の現場を観察しておくとイメージできます。)


 積算手順は、以下のとおりです。
①設計図から各工事ごと・各工程ごとに、数量(長さ×幅×高さ×奥行など)の拾い出し、②数量表を作成、③設計図の仕様書から各工事(各工程)の施工条件(工法・使用部材等)の確認、④「各共通仕様書・各標準仕様書・各積算基準書」等を確認しつつ、各工程の仕様部材等と施工手間代から施工単価を算出します。

 

 この作業過程において、各工事の施工手順の理解はもちろんですが、図面と仕様書の解読が必須となります。
 特に、図面や仕様書では出てこない関連作業や機材・運搬などの費用について、現場を熟知していないと、見逃してしまいますので、施工現場の経験が何よりも大切となります。

 

 設計図には、一般的には、以下の基本図面(建築)があります。(設備・電気の図面は別途)


◆一般図:設計概要書・仕上表・配置図・平面図(各階)・屋根伏図・立面図・断面図
◆詳細図:矩計図・平面詳細図(各階)・展開図・天井伏図・建具リスト・階段詳細図・部分詳細図・建具図
◆構造図:基礎伏図・1階床伏図・各階伏図・小屋伏図・軸組伏図・基礎詳細図・構造基準図 

 

 なお、建設業許可申請等に携わる行政書士は、法律系の知識とともに、建築学(建築構造学・建築材料学・建築設備学・建築設計製図・建築施工等)の知識と設計・施工図面が解読できる現場経験及び建築経理と財務諸表の知識は不可欠であり、今後、これらの分野においても、順次、ご紹介させていただく予定です。 


※ 以下、建築工事の「積算」に用いる資料の一部です。


【徒然のひとこと】

 建築・住宅に関する費用については、見積書をとっても、適正な金額がいくらなのか、わからず、困ったご相談は少なくありません。例えば、「この工事の適正な額はいくらでしょうか?聴くところがなく、困ってます」などのご相談が多く寄せられます。

 

 建築の積算・見積については、図面の解読技術・現場スキルは、必須となりますので、積算額・見積額などのご相談・お問い合わせは、関連の知識とともに、これらの現場経験のある専門アドバイザーへのご相談をお勧めします。

 

 当方は、建築の各工事については、専門アドバイザーとして、ご相談の対応可能ですので、お気軽に、お問い合わせください。