事業の届出の前にすることは?




1 住宅宿泊事業の届出・手続きは、どうする?、その前にすることは?

◆ 住宅宿泊事業をするには、都道府県知事等(東京23区は当該の区)に「届出」をする必要があります。また、届出の際には、入居者の募集の広告等住宅が居住条件を満たしていることを証明するための書類や当該住宅の図面等の必要な添付書類が必須です。

しかし、届出をする前には、事前に、確認する重要な事案や事業を円滑に遂行するための準備など、多くあります。

 

◆ このため、東京都等の場合には、届出しようとする方は、管轄の自治体等の届出窓口において、「事前相談」が必要となってます。

詳しくは、当該自治体の「ガイドライン」等をご確認ください。


【住宅宿泊事業の届出の流れ】

出展:民泊制度ポータルサイト
出展:民泊制度ポータルサイト

届出前の手続きは?

(※ 以下の記載は「東京都における住宅宿泊事業ガイドライン」(以下、「都ガイドライン」)によります。)

 1  事前相談(東京都の場合)

◆ 届出しようとする方は、届出窓口で事前相談(予約制)が必要です。  

 


 2  周辺住民等への事前周知

◆ 届出をしようとする方は、事業を営むとする住宅の周辺住民等に、書面等により事前周知が必要です。

 

★ 周辺住民等の範囲

(1) 戸建て住宅の場合→事業を営む住宅の敷地からの距離が10m程度の範囲の土地に存する家屋の所有者・居住者となります。

 

(2) マンション等共同住宅の場合→事業を営む住宅と同一の階及び上下の階の同一位置に存する居室に居住する住民となります。これに加え、事業を営む住宅が分譲マンションに存する場合は、当該マンションの管理組合又は管理者も事前周知の範囲となります。  

 

★ 周辺住民等の説明内容(※東京都新宿区の場合)

(1) 商号

(2) 住宅宿泊事業を行うこと

(3) 住宅の所在地

(4) 住宅宿泊事業を開始しようとする日

(5) 宿泊者に対して説明すべき事項

<騒音の防止のために配慮すべき事項、ごみ処理に関し配慮すべき事項、火災の防止のために配慮すべき 事項、その他注意すべき事項>

(6) 住宅宿泊管理業務の委託をする場合には、その相手方である住宅宿泊管理業者の商号、名称又は氏名及び連絡先


【注意】

自治体によっては、周辺住民への事前説明について、期限を定めている自治体もありますので、注意が必要です。東京都新宿区では、「住宅宿泊事業の届出をする7日前までに、近隣住民に対して、書面により周知を行い、区に報告を義務付け」してます。

 


【周知の方法等】

★周知方法→ポスティングによる説明資料の個別配布等を行い、事業に関する周知を事前に行います。

★周知内容→施設名称、所在地、事業者名及び緊急連絡先、周辺住民からの問合せの方法等

★事前周知内容の記録の作成→日時・周知先(名称又は部屋名)、周辺住民等から申出のあった意見、対応状況等の記録(都ガイドライン:様式1「事前周知内容記録書」の作成が必要です。



3 事業を営もうとする住宅の安全確保措置

 ◆ 届出住宅の安全の確保について、事業開始までに次の「チェックリスト」の作成が必要です。

 

(1) チェックリスト(都ガイドライン様式2)の作成

★法第6条に定める届出住宅の安全確保措置に関する国交大臣告示との適合状況について、確認します。

★住宅の安全確保の措置状況は、建築に関する専門的な知識を有する者(建築士)でなければ確認が困難な部分が多いため、原則、チェックリストの作成は、建築士(※)に依頼しての作成となります。

(※ なお、建築士は、1級・2級・木造、いずれも可)

 

(2)作成に当たっては、住宅の図面・壁等に使用した建材の種類がわかる設計図書等資料が必要となります

 

4 分譲マンションで実施する場合 

◆ 専有部分の用途に関する管理規約の確認について、当該建物の「管理規約に事業を営むことを禁止する定めがない旨」の確認が必須です。

 

★マンション管理規約・マンション標準管理規約において「禁止規定の規定例」は、下記のとおりです。

・住宅宿泊事業の禁止

・宿泊料を受けて人を宿泊させる事業の禁止

・宿泊させる間、家主が同居する住宅宿泊事業のみ可能

 

◆ 「管理規約に事業を営むことについて、禁止、可能いずれの定めがない場合」の取扱いについて

 

★届出時点で「管理組合に届出住宅において、住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないこと」について、次の方法で確認が必要となります。

(1) 管理組合に事前に事業の実施を報告し、誓約書(都ガイドライン:様式3)の作成

(2) H30年6月15日以降の総会及び理事会の議事録その他管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認」したことを証明する書類の作成



5 家主不在型における事業の実施

【管理業務の委託】

 ◆ 家主不在型で事業を実施する場合は、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託しなければなりません。

ただし、以下に該当する場合は、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行うことが可能です。

 

(1)事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が、同一の建築物内若しくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき。ただし、届出住宅から発生する騒音その他の生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときは、自ら管理を行うことは認められません。

 

(2)届出住宅の居室であって、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行う数が5以下であるとき。

 

【住宅宿泊管理業者との契約の締結】

◆ 住宅宿泊管理業者資格の確認

・あらかじめ、住宅宿泊管理業者が法第22条の登録(国交大臣)を受けた業者であることを確認し、登録済の住宅管理業者と委託契約を締結すること。

 

◆ 委託契約の締結

・契約の前に、委託しようとしている住宅宿泊管理業者に対し、事前に届出書及び添付書の内容を確認してもらい、契約内容(管理受託契約の対象範囲の明確化、責任の所在等)をすり合わせておくことが必要です。

 

・また、委託しようとする住宅宿泊管理業者が、届出住宅に速やかに駆けつける(原則30分以内※交通状況により最大60分)ことが可能な体制であるか、確認が必須です。 

◆ 委託の範囲

・住宅宿泊管理業務の「全部」について、委託契約します。

・委託する場合には、一の住宅宿泊管理業者に委託しなくてはなりません。分割して複数の者に委託することや住宅宿泊管理業務の一部を事業者自らが行うことは、できませんので、ご注意ください。



6 関係機関等との相談・調整

【消防機関】

 ◆ 消防用設備や防火管理体制等に関する消防法令の適用を受ける場合や、又は、各市町村の火災予防条例に基づいて、防火対象物使用開始届出書の提出が必要な場合があります。

このため、届出の前には、建物の所在地を管轄する消防署又は市町村消防本部に相談が必要です。

★ 上記の相談内容については、「都ガイドライン:様式4「事前相談記録簿」に必要事項を記入します。

【建築基準法令の所轄部署】

◆ 法第6条の安全確保措置状況について、確認が必要な場合には、担当部署への相談が必要です。

【保健所】

◆ 飲食を提供する場合には、あらかじめ、施設所在地を管轄する保健所への相談が必要です。

【市町村 廃棄物処理の所轄部署】

◆ 事業の実施に伴い排出される廃棄物に関して、法令・市町村の条例を遵守し、適切に処理するために、関係部署への相談が必要です。

【その他】

◆ 住宅宿泊事業を営む場合は、事業を取り巻くリスクを勘案し、適切な保険(火災保険、賠償責任保険等)に加入することをお勧めします。