都市緑地法の改正

【都市緑地法等の一部を改正する法律(平成29年法律第26号)】

(審議経過)

<議案提出者:国土交通省 提出>

・衆議院可決:H29.4.14

・参議院可決:H29.4.28

・公布:H29.5.12

・施行:H30.4.01(一部:H29年6月施行)


【改正都市緑地法等のポイント(概要)】 

(1) 緑地保全・緑化推進法人(みどり法人)制度の拡充(H29年6月施行

(2) 市民緑地認定制度の創設(H29年6月施行

★民間による市民緑地の整備を促す制度の創設: まちづくり等の民間主体が、市区町村長による設置管理
計画の認定を受け、オープンアクセスの市民緑地を設置・管理

(3) 緑化地域制度の改正(H30年4月施行

★商業地域等の建ぺい率の高い地域における都市緑化の推進: 緑化率の最低限度の基準の見直し(屋上緑化
等の普及を踏まえ、建ぺい率にかかわらず25%まで設定可能に)

(4) 緑地の定義への農地の明記(H29年6月施行

★農地を緑地政策体系に位置付け: 緑地の定義に「農地」が含まれることを明記し、都市緑地法の諸制度の
対象とすることを明確化

(5) 緑の基本計画の記載事項の追加(H30年4月施行

★都市農地の計画的な保全及び都市公園の老朽化対策等の計画的な管理の推進: 都市公園の管理の方針、
農地を緑地として政策に組み込み






  「生産緑地」の大半が指定後30年を迎える「2022年問題」が迫るなか、H27年7月に制定された「都市農業振興基本法」では、都市農地の位置付けが、「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」に政策転換され、都市農業制度も大きく変わったところです。

   この「都市農業振興基本法」と同基本計画(2016年)の制定に併せて、都市政策側の「都市緑地法」や
「生産緑地法」等も改正(2017年)
されたところです。



   「生産緑地法」改正によって、税制優遇の条件となっていた30年が限度であった「営農継続」についても、10年ごとの更新が認められたところです。

   これにより、転用制限の切れる「2022年問題」が回避され、営農が継続できるようになったところです。さらに、今国会で「都市農地の貸借の円滑化に関する法律案」が成立すれば、生産緑地を第3者に貸与した場合でも、「相続納税猶予」が受けれることになります。




【徒然やまとコラム】

    三大都市圏にある特定市(区)にある「生産緑地」の指定から25年以上が経過し、4年後には「2022年問題」がクローズアップされる中、2015年(H27)に「都市農業振興基本法」が成立し、2016年(H28)には「都市農業振興基本計画」が閣議決定され、さらに、2017年(H29)には、「都市緑地法」の改正と「生産緑地法」の改正、加えて、現在(H30)、国会での審議中の「都市農地新法」が成立すれば、2022年問題が解決対応され、生産緑地の有効利用等が図れるところです。


【2022年の生産緑地の選択は?】

(1) 今までどおり、特定生産緑地の指定又は指定の期限の延長(10年)して、農業を続ける

 ➡ 農地評価と相続税の猶予制度利用が可能

(2) 特定生産緑地の指定を受け、市民農地として、緑地管理機構に貸与

(3) 生産緑地の買取り申出を行い、生産緑地の指定解除し、土地の有効利用(農地転用)または売却


 H30年税制改正では、農地に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直しについて、盛り込まれてますので、生産緑地を所有している農家は、農業経営基盤の確立とそれに伴う税負担(固定資産税等含む)との比較など、慎重な検討が必要なところです。

   生産緑地を所有され、2022年以降の方針について、仕組みを知りたい方は、ご相談ください。