古物営業法の改正

【古物営業法の一部を改正する法律案】

(審議経過)

<議案提出者:内閣(警察庁)提出>

・衆議院議案受理年月日:H30.3.6

・参議院可決:H30.4.6

・衆議院可決:H30.4.17

・成立:H30.4.17

・公布:H30.4.25

・法律番号:21



【古物営業の規制緩和に向けた有識者会議の開催・議論】

警察庁は、リサイクル品や中古品などを売買する「古物営業」の許可手続きや営業場所の規制緩和について、「古物営業の在り方に関する有識者会議」を3回(H29.10/13、11/6、12/4)開催し、29.12.21に、下記の報告書を取りまとめたところです。



有識者会議の議論を踏まえ、政府は、中古品などを取引する古物営業について、営業許可手続きの簡素化などや、買い取りができる場所などの規制を緩和する「古物営業法の改正法案」をH30.3.6に閣議決定し、同日、衆議院に提出したところです。

改正法案は、参議院可決(H30.4.6)・衆議院可決(H30.4.17)を経て、H30.4.17に成立しました。



【古物営業法改正の要旨】

◆許可単位の見直し(施行期日:公布の日から2年を超えない範囲)

【現行】営業所等が所在する都道府県ごとに古物営業の許可を受けることが必要。

➡【改正後】主たる営業所等の所在地を管轄する公安委員会の許可を受ければ、その他の都道府県に営業所を設ける場合には「届出」で足りることになります。


(1) 経由規定の整備

届出手続きの利便性向上のため、古物商等は営業所等の所在地の公安委員会を経由して、主たる営業所等の所在地を管轄する公安委員会に届出を行うことができることになります。


(2) 行政処分に関する規定の整備

主たる営業所等の所在地を管轄する公安委員会は、古物商等の全国における営業に対して許可の取消、営業停止などの行政処分を行うことができることになります。


(3) 公安員会間の情報共有に関する規定の整備

古物商等の許可やその変更等に関する情報、競り売りや仮設店舗における古物の受取の届出に関する情報、行政処分に関する情報について、都道府県公安委員会は国家公安委員会に報告し、国家公安委員会は当該報告に係る事項を各公安委員会に通報して、公安員委員会間で情報を共有することになります。


◆営業制限の見直し(施行期日:公布の日から6月を超えない範囲)

【現行】古物商は、営業所又は取引の相手方の住所等以外の場所で、買受け等のために古物商以外の者から古物を受け取ることができない。

➡【改正後】事前に公安委員会に日時・場所を届出すれば、「仮設店舗」においても古物を受取ることができます。


【改正後のポイント】

◆ 中古品などを取引する古物営業について、現行法では、都道府県ごとに営業許可を取得する必要がありましたが、改正後は、本社等を管轄する都道府県公安委員会で許可を受ければ、2カ所目の店舗からは、異なる都道府県でも出店を届け出るだけで営業が可能となります。

◆ 中古品の買い取り場所は、現行法では、取引相手の本人確認の必要から店舗や相手の自宅に限られてましたが、改正後は、公園やデパートの催事場などでも「仮設店舗」として認められます。





【徒然やまとコラム】


【古物営業をめぐる状況】

古物営業は、盗品等の売買の防止等の観点から、古物営業法(S24施行)により許可制とされ、所要の規制が行われてきたところです。H28年度末の許可件数は約78万件で、全国展開が進み、増加傾向が続いてます。

今回の改正による「営業許可手続の簡略化や中古品の買取場所の拡大」の規制緩和では、大きな経済効果が見込まれてます。


しかし、一方で、許可件数には、現に営業実態がなく、返納義務があるものの、返納されていない許可が相当数が含まれてる状況があります。リサイクル市場の活性に向け、営業実態のない許可証の返納の手法についても、今後の議論・検討が必要です。


【今後の課題】

★ インターネットを利用した古物の取引について、非対面取引が普及している実態等から、本人の確認方法について、現行の方法に加えて、実態に応じての方法の検討が必要ではないでしょうか。